「貯金はあるのに老人ホームに入れない!」身寄りのない70代女性が、身元保証と死後事務で手に入れた安心

「夫を見送り、気づけば親族は誰もいなくなっていました」
「認知症になったとき、誰を頼ればいいのは不安で眠れませんでした」
「資金の準備はできていたのに、まさか『保証人』の壁に阻まれるとは思いませんでした」
超高齢社会を迎えた今、このようなご相談が急増しています。 配偶者との死別や、生涯独身で過ごされたことによって「おひとり様」となった場合、老後の生活には想像以上に多くの「契約の壁」が立ちはだかります。
今回は、ご主人を亡くされた後、お一人で生活されていた70代女性からのご相談事例をご紹介します。 希望する老人ホームへの入居を断られてしまった絶望的な状況から、どのようにして「身元保証」の問題を解決し、さらには「認知症対策」「死後の整理」までの完璧な備えを実現されたのか。 その全容を、担当司法書士が解説します。
1. ご相談者様の状況
解決事例の概要
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ご依頼者様: 春子様(76歳・女性)
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家族構成: 夫と死別、子供なし。兄弟姉妹は全員他界しており、甥姪とは疎遠。
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資産状況: 国立市内のご自宅(持ち家)、十分な預貯金あり。
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健康状態: 足腰に少し不安があるが、判断能力はしっかりしている(認知症なし)。
ご相談の背景
春子様は数年前にご主人を見送られ、国立市にある自宅で気ままな一人暮らしをされていました。 しかし、75歳を過ぎた頃から足腰が弱り、買い物やゴミ出しがつらくなってきました。「もし家で転倒して、誰にも気づかれずに孤独死してしまったら…」という不安が日に日に増していったといいます。
「元気なうちに、食事や見守りのある安心できる老人ホームに移ろう」 そう決断され、ご主人遺した預貯金と年金を計算し、資金計画もしっかり立てた上で、気に入った有料老人ホームに申し込みをされました。
しかし、施設長から告げられたのは予想外の言葉でした。 「春子さん、入居には『身元保証人』が必要です。どなたかご親族はいらっしゃいませんか?」
春子様にはお子様がいません。兄弟もすでに他界しており、遠方に住む甥や姪とは何十年も会っておらず、今さら「私の保証人になって」と頼める関係ではありませんでした。 「お金なら半年分でも前払いします」と食い下がりましたが、施設のルールとして例外は認められず、入居を断られてしまったのです。
「お金があっても、家族がいないと施設にも入れないなんて…」 途方に暮れていたところ、当事務所のホームページをご覧になり、「身元保証サービス」についてお問い合わせをいただきました。
2. おひとり様を阻む「3つの壁」
春子様のお話を詳しく伺うと、直面している問題は「老人ホームに入れない」ことだけではありませんでした。 おひとり様が安心して最期まで暮らすためには、以下の「3つの壁」を乗り越える必要がありました。
① 【入居の壁】9割の施設が求める「身元保証人」
春子様が直面した最大の壁です。 総務省の調査によると、医療機関や介護施設の約9割が、入院・入所の際に「身元保証人(連帯保証人)」を求めています。 施設側が求めているのは、単なる支払いの保証だけではありません。
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緊急時の駆けつけ・医療同意: 夜中に救急搬送された時、誰が駆けつけ、手術の同意サインをするのか?
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退去時の身柄引き取り: 施設を退去することになった場合、誰が引き取るのか?
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死後の対応: 亡くなった際、誰がご遺体を引き取り、部屋を片付けるのか?
これらは非常に重い責任であり、友人や知人に頼めるものではありません。家族のいないおひとり様にとって、これは事実上の「門前払い」となってしまうのです。
② 【財産の壁】認知症による「資産凍結」リスク
春子様は「今は元気」ですが、将来もし認知症になってしまったらどうなるでしょうか? 判断能力が低下すると、銀行は口座を凍結します。 たとえ春子様の通帳に数千万円の預金があったとしても、ご自身で引き出すことができなくなり、入院費や施設利用料が払えなくなる恐れがあります。 また、自宅を売却して施設費用に充てようと思っても、契約行為ができないため売ることもできません。
③ 【死後の壁】「私の最期、誰が片付けるの?」
春子様が最も心配されていたのが、この点でした。 「私が死んだら、葬儀は誰があげてくれるの? お墓には誰が入れてくれるの?」 「家にあるたくさんの荷物や、夫との思い出の品は、ゴミとして処分されるしかないの?」
相続人がいない、あるいは疎遠な場合、ご遺体や遺品が放置され、「無縁仏」として扱われてしまうリスクがあります。 また、春子様には「お世話になった施設や動物愛護団体に寄付をしたい」という尊い想いがありましたが、遺言書がなければ財産は国庫へ帰属することとなり、その願いも叶いません。
3. アコードが提案した解決スキーム
当事務所では、春子様の「施設に入りたい」という目先の希望を叶えるだけでなく、認知症になった後、そして亡くなった後のことまで完全にカバーする「おひとり様・完全サポートパック」をご提案しました。
これは、親族に代わって司法書士や法人が家族の役割を担う仕組みです。
ステップ1:身元保証・見守り契約(今の安心)
まず、希望する老人ホームに入居するため、当事務所の提携する一般社団法人と「身元保証契約」を締結しました。
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対策: 法人が身元保証人となることで、施設の入居審査をクリア。
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プラスα: 定期的に電話や訪問を行う「見守り契約」もセットにし、施設内での生活で困ったことがあればいつでも司法書士に相談できる体制を整えました。
ステップ2:任意後見契約(将来の安心)
将来、認知症になった場合に備えて、「任意後見契約」を公正証書で締結しました。
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内容: 「もし私がボケてしまったら、アコードの司法書士を後見人にします」という予約契約です。
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効果: 判断能力が低下した後は、私たちが後見人として通帳を管理し、施設費用の支払いや、医療・介護サービスの契約代行を行います。これにより「資産凍結」のリスクを回避しました。
ステップ3:死後事務委任契約(死後の安心)
「誰にも迷惑をかけたくない」という春子様のために、「死後事務委任契約」を結びました。
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内容: 亡くなった後のあらゆる手続きを代行する契約です。
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通夜、葬儀、火葬の手配
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納骨(ご主人と同じお墓への埋蔵)
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施設の退去手続き、居室の片付け(遺品整理)
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役所への死亡届、年金の停止、公共料金の解約など
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費用: かかる費用(葬儀代や整理費用)の概算を算出し、あらかじめ信託銀行等の専用口座にお預け(預託)いただきました。これにより、周囲に金銭的な負担をかける心配もなくなりました。
ステップ4:公正証書遺言の作成(想いの実現)
最後に、残った財産の行き先を決める「遺言書」を作成しました。
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内容: 葬儀や片付けにかかった費用を差し引いた残りの財産を、春子様の希望通り「動物愛護団体」と「入居する施設」へ寄付(遺贈)する内容にしました。
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遺言執行者: 当事務所の司法書士を指定し、確実に寄付が実行されるようにしました。
4. 解決後の状況とご依頼者様の声
全ての手続きと契約を終えた春子様は、無事に希望していた老人ホームへの入居を果たされました。 現在は、施設のスタッフや他の入居者様と穏やかな毎日を過ごされています。
【春子様からのコメント】 「『保証人がいない』と言われた時は目の前が真っ暗になりましたが、こんな解決方法があるなんて知りませんでした。 今は、いつお迎えが来ても大丈夫。葬儀のことも、荷物のことも、財産のことも、すべてアコードさんに託してあるので、何の心配もありません。 夫との思い出の家も、アコードさんが管理して、私の死後は売却して寄付に充ててくれることになっています。 『一人でも生きていける』という自信と安心をいただけて、本当に感謝しています」
5. 司法書士からの解説:70代からの「契約」があなたを守る
今回のご相談のように、おひとり様にとって「老後の壁」は非常に高く、分厚いものです。 特に「身元保証」と「死後の手続き」は、行政のサービス(介護保険など)ではカバーしきれない領域であり、ご自身で民間のサービスを契約して備えるしかありません。
家族の役割を「契約」で補う時代
昔であれば家族や親戚が担っていた役割を、今は司法書士などの専門家に託す時代になっています。 しかし、これらの契約(任意後見や死後事務委任)は、ご本人に判断能力があるうち(認知症になる前)しか結ぶことができません。
「まだ元気だから大丈夫」 そう思っているうちに認知症が始まってしまうと、契約を結ぶことができず、希望する施設に入れなかったり、財産が凍結されてしまったりと、選択肢が一気に狭まってしまいます。
アコードの「ワンストップサポート」
当事務所では、身元保証から財産管理、死後の手続き、遺言まで、窓口一つで全て対応できる体制を整えています。 「自分にはどの契約が必要なのか分からない」という方もご安心ください。現在の状況とご希望を丁寧にヒアリングし、無駄のない最適なプランをご提案します。
「頼れる人がいない」という不安を抱えている方は、手遅れになる前に、ぜひ一度ご相談にいらしてください。あなたの人生を最期まで守り抜くためのパートナーとして、全力でサポートさせていただきます。
この記事を担当した代表司法書士

アコード相続・遺言相談室
代表司法書士
近藤 誠
- 保有資格
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司法書士・簡裁訴訟代理認定司法書士
- 専門分野
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遺言、家族信託、M&A、生前贈与、不動産有効活用等の生前対策
- 経歴
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司法書士法人アコードの代表を勤める。20年を超える豊富な経験、相続の相談件数6000件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。

















































